空蝉の唄~幼馴染の人妻女将と、年に一度の逢瀬~
空蝉の唄~幼馴染の人妻女将と、年に一度の逢瀬~


田舎で育った将太にとって、年上の幼馴染・千里は特別な存在だった。夏休みにはいつも一緒に蝉を追いかけ、笑い合い、水辺でじゃれ合った。あの頃の将太は、そんな日々がずっと続くものだと思っていた。しかし三年後、千里は地元の有力者と結婚する。将太にできたのは、白無垢姿の彼女を遠くから見送ることだけだった。そして十年以上の時が流れる――。
東京で暮らす将太は、帰省の折に老舗温泉旅館・夕緑庵を訪れる。そこで彼を出迎えたのは、かつての‘ちさねーちゃん’――女将となった千里だった。三児の母となり、女将としての落ち着きと艶を纏った千里。昔の面影を残したまま、大人の色気を増した彼女の姿に、将太の胸は静かに揺れ始める。
夜、二人は酒を交わしながら、昔話と近況報告に花を咲かせる。変わらない笑顔。変わってしまった距離。そして将太は、胸の奥に残っていた想いが、幼い憧れではなく恋だったことを悟る。もう後悔したくない。恋人がいる身でありながら、将太は千里を求めることを選ぶ。千里もまた、妻として、母として、女将として、幾重ものしがらみに閉じ込めてきた自分の心を、将太の想いによって解き放っていく。そして二人は、越えてはいけない一線を越えてしまう。夫との義務的な営みしか知らなかった千里の身体は、戸惑いながらも、将太の熱にゆっくりと反応していく。昔の記憶と今の欲情が混ざり合い、抑えていた想いは、夏の夜の中で激しく燃え上がる。伴侶がいる身でありながら、年に一度だけ求め合う禁断の関係。夏の終わりを告げる蝉の抜け殻のように、儚くも熱い秘密の逢瀬が、ここから始まる…

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